このところパッとしない天候や世のＧＷ連休を避けるために 突然決まった今回の旅行では、今までの山陰旅行では行っていない場所をメインに廻ります。

最初の目的地へ行く為に山陽自動車道から岡山道、中国自動車道を経て米子自動車道へ合流。
順調に北へ北へと進み、車は湯原ICで下りました。と突然、車を運転していたTAKAが「何かおかしい...」 路肩に車を停めてカーナビをチェックしました。
「やっぱり...、下りるICを間違えた」
こんな事ははじめてでした。ナビが道を間違えた？
ナビの設定をやり直し、そのまま一般道を走ります。自宅を出発して約2時間半、無事に到着です。

そこは日本で一番縁起の良い名前の神社と言われる金持神社です。 残念ながら読みは“かもち”と読みますが、漢字だけを見ると縁起が良さそうです。

この日は年３回行われる“金持まつり”だったらしく、金持神社への橋渡しをしている“神明橋”でちょうど神主さんがお清めをされている光景を拝見することができました。儀式が終わるまで待ち、清められたばかりの橋を渡ります。
橋を渡りながら、辺りの長閑な風景を満喫していると、新緑を迎えた山の木々がＶのマークになっているのを発見しました。
『金持』に加え『Ｖ』まであるとは...驚きでした。

さらには、橋を渡りきった所に一軒のお宅があるのですが、その前に神主さんが車を停めていらしたので、目にとまったことがあります。そのお宅にあった表札の下のお名前が『勝利』とありました。
TAKAの弟と同じ漢字なので、それほどの驚きはありませんでしたが、『金持』、『Ｖ』、『勝利』と続いて存在していることには驚きました。縁起が良いです。
(双方の当事者の方には許可なく掲載した事をお詫びします)

右の写真は言うまでもなく、金持神社の鳥居です。
言っちゃったぁ〜(^ ^+
さらに縁起物はないかと階段の段数を数えてみましたが、インパクトがなく忘れてしまいました。

金持神社の本堂です。
神社はもちろんですが地名も“金持”だそうで気になるその由来は、昔、黄金より勝ると言われた「玉鋼」の産地で、原料の砂鉄が採れる谷を多く所有し、鉄のことを「かね」と読んでいた事から、金の採れる谷を多く持つ「金持」と呼ばれるようになったそうです。
語源は「おかね」ではなく「てつ」だったわけですね。
全国に存在する名字の「金持」のもとになった地名もこの地だそうですよ。
参拝に来られた方の中には縁起を担がれた方も多く、奉納された絵馬や札所の落書き帳にはお礼参りの言葉が多数あるそうです。
この旅行の翌日、二人とも幸運を授かりました。

次の目的地へ向かう道のりは、とても長かったです。
それもそのはず、旅日記を書くうえで地図を確認したところ、ほとんど島根県に近い広島県との県境から、横に長い鳥取県の真ん中まで移動していたのです。
しかも走った道路すべてが山道を含む一般道です。
地図上の直線距離で約40km離れていました。

道中、少し雪が残った大山を見ることができました。
「今度は大山に登りたい」
TAKAが言いました。マジで!?
何年か前に、大山の登山道入口にある食堂で登山客をみながら食事をしたことがあります。その時にも「登ってみる？」と聞かれた事を思い出しました。

途中で昼食を摂り、さらに車で走ること約1時間。
ようやく次の目的地へ近づいたようですが、そこは
山間部で、MIEはまだ目的地を知らされていません。
その時、やけに低空飛行をいているヘリコプターを見かけました。TVの中継か？それとも故障か？
ヘリコプターはすぐに見えなくなってしまいました。
まもなく駐車場の案内板を見つけましたが、駐車場が点在しているようだったので、できるだけ目的地に近い所に停めようと最初の駐車場を通り過ぎます。
すると、すぐに路上駐車の群れがあり、階段、それに救急車、パトカー、消防車が２台停めてありました。
「何かあったのかな？」ただごとではなさそうです。
結局、通り過ぎた最初の駐車場まで戻りました。

今回の旅行ではTAKAから“軍手”を持参するように言われていました。旅行で軍手？なぜ？
駐車場に車を停め、MIEの野次馬根性で逸る気持ちを落ち着かせるかのように、TAKAが言います。
「忘れずに軍手を持って降りてよ」
後部座席に積んでいたMY旅行バッグから軍手を取り出して、デジカメ等と一緒に手荷物を作ります。

駐車場から150mくらい軽い坂道を歩いたでしょうか。
先ほど車中から見えた階段がこんなにも長く続くものだとは気がつかず真下から見ると気が遠くなります。
約７年前に“かがわの旅”で参拝した、金比羅宮での果てしなく続く階段が思い出されました(>_<)

１カ月ほど前に仕事を辞めて以来、運動らしい運動をしていないMIEにとって、長い階段は過酷でした。
案の定、途中で休憩をする始末で、やっとの思いで階段を上りきった時には、すでにクタクタでした。
これから向かおうとしている方向の上空には先ほど
低空飛行をしていたヘリコプターの姿がありました。
しかも、ずっと同位置をキープしています。
「やっぱり何かあったのかな？」
参詣者受付案内所で参詣料を払って受付を済ませるわけですが、どうも受付がゴタゴタしています。
「申し訳ありませんが、入山者の受け入れをストップするように消防の方から要請がありまして...」
受付にいたおじさんが困惑気味になっています。

何をする為にココにいるのか未だ理解できていないMIEには、状況がわかりませんでした。
「せっかく来たのに、上まで行けないと意味がない」
TAKAがぼやきながら先へ進みます。
歩きながら今の状況をMIEに説明してくれましたが、何をする場所なのかは教えてはくれませんでした。
しばらく行くと、水場に柄杓が置いてありました。
その前で、手を繋いでデレデレとしているカップルがいたので、MIEはイライラしながら神社にある手水舎と思い込み手水を使いましたが、どうやら手水舎ではなかったようです。
本物の手水舎は違う場所にあり、その間違いに気がついたのは冷静になった帰り道でした。

古ぼけた木板に水琴窟と書いてありました。
仏さまへ水をかけると琴のような音がする、といった説明がありましたが、仏さまの前に“小さな”と手書きで書き加えられていました。
MIEも小さい仏さまに柄杓で水をかけてみました。
しばらくすると、落ちる水が反響して“キーン、コーン”と不定期な音が聞こえてきました。
琴の音を間近で聞いたことはありませんが、琴というより鉄琴のような音が鳴り響いていました。

さらに階段を上ると青いビニールをかけた改修中の建物と簡易テントのお土産屋しか目にとまらず、あまり記憶に残っていませんが、神社だったようです。

その先に道はなく、よく見ると青いビニールをかけた建物の隅に、薄暗く簡易的な狭い通路があり、そこを通り抜けると登山事務所がありました。

短時間で入山者ストップは解除されていました。
事務所の方の話によると、山頂に近い所で転落事故があったそうです。ヘリコプター、救急車、パトカー、消防車がすべてつながりました。
そして、ここまで来て初めて、これから山に登るという事実を知らされました。ヒドくありませんか？
ここから先は危険な山道を進むということで、靴底の凹凸チェックを受けました。靴がNGの場合は、有料の“わらじ”に履き替えさせられます。

また手荷物もNGなので無料のリュックを借り、手荷物と大事なデジカメを詰め込みました。
入山者リストに氏名と入山時間を記入し参拝受付を済ませると、輪袈裟(わげさ)を渡されました。
輪袈裟は「参拝の正装」らしく、左肩からたすきの様にかけるものです。「たるみがないように」と言われたので、輪袈裟の上にリュックを背負いました。
持参した“軍手”も装着し準備万端で出発です。
最初はちゃんとした道が整備されていて“危険”とは無縁で余裕でしたが、少し奥へ入ると写真左のような状態。山中を撮影したわけではなく、通る道です。
MIEが想像していた登山とは大きく違い、見ただけで「絶対に無理!!」と思いました。

ですが、ここまで来た以上、後戻りはできません。
拝見した感じは50代後半と思われる御夫婦と一緒になる形で登り始めたのも、MIEの精神を支えました。
筋力が低下してしまい、やっとの思いで木の根を頼りによじ登っているMIEの後ろを、一見楽しそうに、また足取りも軽やかに登っておられました。
年齢ではなく、体力の若さを思い知らされました。
MIEが頑張って登っていても、体力は無限かのように登ってこられる御夫婦に申し訳なく思い、道を譲る形で少し休憩をとり、息を整えました。
どこからか鈴の音が聞こえてきました。「何？」辺りをキョロキョロしていると、上からオレンジ色の服を着た男性が３人降りてきて、鈴の音の発信源でした。

レスキュー隊の方たちでした。のちには、警察官ともすれ違いました。制服のまま山を登られたかと思うと、少し気の毒に思いました。
写真上の文殊堂くさり坂では不安定な鎖を使う為、一人ずつしか登れません。
人が登っている姿を下から見ていると、鎖はあるし岩のデコボコもあるから大丈夫と思っていました。
が、実際に登ると、力を入れる度に鎖は右へ左へと動いて頼りなく、あてにしていた岩のデコボコは削られてツルツルで足場にはなりませんでした。
怖くなって途中で登るのを止めたくなりましたが、降りることもできず、頼りない鎖を放し文殊堂の木組みを使って登りきりました。本当に怖かったです(ToT)

ホッとしたのも束の間、巨大な岩が出現!!
どうも登るみたいです。。。(−−；)
写真上の巨大な岩の左側には“転落死亡事故現場”と書いてある札があり、通行禁止となっていました。
現場は足場が狭く、深い谷のようになっていました。
御冥福をお祈り申し上げます。

巨大な岩登りは、まるでロッククライミング状態です。
岩の凹凸加減が丁度良く、見た目よりラクでした。
上りがあれば当然のように下りもあるわけで、支えがほとんどない状態の下りでは、衣服を汚さないように気を遣いながら、なおかつ滑り落ちないようにする事で頭の中がいっぱいでした。

左の写真は地蔵堂です。
誰が何のために山の上に御堂を建てたのか、理解に苦しみます。考えても答えは出ません。

地蔵堂は文殊堂くさり坂でお世話になった文殊堂と同じ建築様式で、室町時代のものらしいです。
“長押内側に「当山退転六年寺中野原となり申候　
慶長四年六月」と墨書きがある”とありました。
国の重要文化財に指定されているようです。

「チョー気持ちええ」と男女４人のグループが傷んだ床の上を歩いて一周していましたが、いつ壊れるかもしれない板の上で怖くなかったのでしょうか。

続いては馬ノ背と牛ノ背と呼ばれる所です。
写真右は無我夢中で撮影したものなので、どちらかわかりません、すみません。
案内図上、出発地点の登山事務所から最終目的地までの半分くらいの地点に到達したでしょうか。
この辺りまで来ると、それまで険しい山登りだった道がほぼ平坦となり、疲れも感じなくなっていました。
時々、ズルッと足場が滑り、ヒヤッとする場面もありましたが、それはそれで楽しんでいました。
この辺りで、出発当時、一緒に登っていた御夫婦が帰られる場面とすれ違いました。
素直に「早いですね」と声をかけました。
すると「あと少しですよ」と教えて下さいました。

御夫婦に教えていただいた通り、次々と御堂を拝見することができました。
国重要文化財に指定されている納経堂、写真左は町指定の保護文化財に指定されている観音堂で、正保五年(1648)鳥取藩主池田光仲より再建されたと書いてありました。
大きな洞窟の中に御堂がすっぽりと入っているようなので、再建する際、やはり洞窟の大きさに合わせて建てたものなのでしょうか。
順路としては、御堂の後ろ、すなわち洞窟の中を通るようになっています。
洞窟の中は暗く冷やかで、足場は山肌からしたたり落ちてくる水で濡れていました。

ようやく最終目的地に着きました。投入堂です。
垂直な崖の凹凸部分の形状を利用して、はめ込むように建てられています。
慶雲三年(706)、修験道の祖、投行者が神窟を開き法力をもって投げ入れた、との伝えにより「投入堂」と人々は呼ぶようになったと伝わっているそうです。
MIE個人の意見としては、投げ入れたというのはあり得ない“日本むかし話”で、三徳山は修業の場という点や、これまで見てきた建物の構造から、木組みの足場があったか、木材等を背中に背負い幾度も崖をよじ登り、地道に組み立てたと考えています。
現代の科学的調査では平安時代後期の作と言われていますが、調査はどう行なったのでしょうか。

本日のお宿は湖泉閣　養生館です。
客室が綺麗でとても広かったので、大満足でした♪
男女露天風呂、家族露天風呂、家族風呂と多彩です。
画像は「じゃらんnet提供」

少し休憩をして二人で露天風呂をいただいた後は
かにかにタジン鍋カップルプランの時間です♪

本日のメニューは...
・ハートのカクテル
・かに味噌豆腐
・かにカルパッチョ
・かにパイ皮包み焼き
・焼きがに
・和風コラボ かにタジン鍋
・ゆでがに香三杯酢
・リゾット風雑炊
・水菓子 季節の物、大皿盛りでした。

TAKAもMIEもカニは大好きです♪
カニづくしのプランを何回選んだことでしょう。
湖泉閣　養生館では、コース料理のように運ばれてきたので、画的には見栄えがしませんが、どの料理も適度な量があり美味しかったです。
“タジン鍋”とは何ぞや?と思っていたのが写真右で、
モロッコで使われる鍋で、その蓋に特徴があります。
鍋に食材を入れ独特な形をした蓋をして加熱。食材が発散する水分で蒸し煮するんだそうです。
最近はネットでタジン鍋を購入できます。
何だか食材がほとんどナマの状態で、二人の口には合いませんでした(>_<) 仲居さんの許可を得て、数分間煮込み、完全に火を通してからいただきました。